🟩インテルチップ不足の原因「味の素ビルドアップフィルム基板」とは?
🟩「味の素ビルドアップフィルム基板」が不足
味の素 ビルドアップフィルム基板(ABF基板)は、プロセッサのコンポーネントを接続する基板です。CPU、GPU、ASICなどの高性能プロセッサに広く利用されています。このABF基板の供給が不足のためインテルの収益に影響がありそうです。
🟩味の素が不足の原因ではない
味の素ビルドアップフィルム(ABF)はABF基板の絶縁層で使われます。このABFは、世界で「味の素ファインテクノ社」の1社だけで製造されています。ただし味の素ファインテクノ社が、ABF基板の供給不足の原因ではありません。
世界にはABF基板を作る企業は数十社あります。その基板メーカーの増産が、供給量に間に合っていない状況です。現在のABF基板のリードタイムは4〜5か月となっています。価格は40%も上昇し続け、CPU、GPU、および一部のICメーカーに大混乱をもたらしています。
🟩基板メーカーの状況
代表的なABFメーカーの台湾のUnimicron Technology、Nan Ya PCB、Kinsus Interconnect Technologyなど、ABF基板の増産を計画しています。日本の2つの主要なABF基板メーカーであるイビデンと新光電気は、台湾の同業他社より早く増産に踏み切り、2021年中に徐々に増産されます。
ABF基板生産の歩留が低く、ハイエンド製品で70%程度と言われています。ABF基板メーカーからすると儲からない製品でしたが価格が上がることで投資に踏み切ってます。
🟩まとめ
高性能基板や組み立て技術は日本の得意分野なので、こういう機会に日本での基板の生産を増やせると良いです。【イビデン】[4062]と【新光電気工業】[6967]はインテルを主要顧客に持つ代表的な高性能基板メーカーです。
🟦TSMC2nmプロセスは順調?
🟦TSMC次々世代の2nmプロセスは順調?
半導体の受託製造最大手TSMCは、2nmプロセスの開発状況が順調だと決算発表でコメントしました。リスク生産を2024年に開始し、量産を2025年末に開始する予定です。チップを採用する最初の顧客はアップル(Apple)とインテル(Intel)になる見通しです。
2nmプロセス
半導体プロセスは2~3年おきに更新されるメジャーノードと、その改良ノードで開発が進んでいます。TSMCの最新メジャーノードは5nmプロセスで、2022年後半には次々世代3nmプロセスが登場する予定です。
- TSMCのメジャーノード
- 2018年~ 7nmプロセスファミリー
「N7」「N7P」「N7+」「N6」 - 2020年~ 5nmプロセスファミリー
「N5」「N5P」「N4」「N4P」「N4X」 - 2022年~ 3nmプロセスファミリー
- 2025年~? 2nmプロセスファミリー
- 2018年~ 7nmプロセスファミリー
🟦新構造のトランジスタGAAを採用
TSMCの2nmプロセスはトランジスタ構造を現在の主流のFinFETから、GAA(ゲートオールアラウンド)へ変更する予定です。水平方向に電流を流すFinFETでは微細化の限界に近づいてきています。そのため先端プロセスは各社垂直に電流が流れるGAA構造に移行することが予測されています。TSMCはGAA構造を次世代の3nmプロセスからではなく次々世代の2nmプロセスで採用します。つまりTSMCは2025年まで7nmプロセスから採用したEUV露光のFinFETが競争力を保てると考えています。
ライバルのサムスン電子とインテルのGAA
GAAはサムスン電子ではMBCFET、インテルではRibbonFETと呼んでいます。サムスン電子は2022年に開始する3nmプロセスの量産でGAAを採用する計画です。インテルは、2024前半に予定しているIntel20AでRibbonFETを採用する計画です。
先端プロセスのファウンドリーとしてリードするTSMCは、新構造のGAAはしっかり量産技術を確立してから導入する計画です。
🟦まとめ
ファウンドリー事業でTSMCを追うサムスン電子は、2022年の3nmプロセスでGAAをいち早く導入する計画です。現在GAAの歩留まりが上がらなく苦戦しているという噂もありますが積極的にリスクをとっています。
🟦世界のシリコンウェーハ出荷量@2022Q1
🟦世界のシリコンウェーハ出荷量@2022Q1
SEMIは半導体向けシリコンウェーハの出荷量が2022年第1四半期に過去最高値を記録した発表しました。前年の33.4億平方インチから10%増加し36.7億平方インチとなりました。
🟦36.7億(平方インチ)とはどれくらい?
半導体不足により、シリコンウェーハの供給で依然としてタイトです。そのためシリコンウェーハの2021年の出荷面積、は36.7億(平方インチ) となりました。換算すると総面積は約2.5(平方km)となります。
- 36.7億(平方インチ) = 約2.5(平方km)
- 8インチ ウェーハ 7000万枚
- 東京ドーム 5個分
すべての半導体チップに使われるウェーハですが、日本のメーカーが世界市場の半数を占めています。1位 信越化学工業(株)【4063】、2位 (株)SUMCO【3436】がその代表的なメーカーとなります。シリコンウェーハの出荷量が増えると、この日本企業の出荷が増加することになります。
🟦まとめ
世界のシリコンウェーハの出荷は、2022年第1四半期に新記録を更新しました。
世界のトップ100企業の時価総額
2021年3月時点でランキングから
2020年からの上昇/下落
1位 EVメーカTeslaが565%上昇と大きい
地域別
日本はオランダに続き第4位 ソフトバンクの上昇が大きく貢献している
まとめ
2020年に比べると全体的に成長していることがわかる
半導体EDAベンダー
Synopsys Cadence Design Systems Mentor Graphics について調べてみた
時価総額
Synopsys 370億ドル
Cadence Design Systems 350億ドル
だいたい同規模である